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●キセルの発祥
 「キセル」という言葉は、現代の若い人にはなじみの少ない言葉ではないだろうか。先端の円形の皿状の所にに刻みたばこを詰めて点火する喫煙具のことである。江戸、明治の男にとって唯一の装身具だった。
 語源はカンボジア語のクシエルKhsier(パイプの意)に由来するという。

 たばこは16世紀の中頃に、ポルトガル人によって我が国にもたらされるが、慶長17年(1612年)には徳島県でたばこが栽培され、国産業たばこによる「刻みたばこ」(葉たばこを細かく刻んだもの)が登場する。刻みたばこを吸うための道具がキセルで、明治5年(1872年)に紙たばこが商品化されるまでは、キセルは唯一の喫煙具として欠かせないものであった。

 たばことしてほぼ400年の歴史をもつ刻みも、我が国に残っていた最後の刻み工場、徳島県の日本専売公社池田工場が昭和54年3月に製造を一時中止し、刻みたばこは国産たばこの種類から消えた。だが人々の強い要望で、幾月も経たないうちにすぐに復活する。

 かつてキセルは、おもに会津、東京、京都、それに燕で作られており、昭和4年には燕で190戸(390人)がキセルを作っていた。当時の燕の人口は1万2,000人(約2100戸)ほどで、約20%の410戸が金物づくりをしており、戸数では金物づくりの半数近くがキセルを作っていた。それもそのはず、燕でのキセル作りは古く、その始まりは明和年間(1764〜72)とも安永年間(1772〜81)ともいわれ、少なくとも200年の長い伝統がある。
 最近では紙巻たばこを切ってキセルに差込み、吸っている人もいるほど愛されているようだ。

 この愛すべきキセルだが、当初会津や東京、京都そして燕で作られていたものも、年々職人の数が減っていき、今現在では製造・販売を行っている会社は、弊社1件のみとなってしまった。
 悲しいことだがキセルが歴史に埋もれないよう、私たちはこれからも精力を捧げてキセルを世の中に伝えていきたいと願っている。



●キセル作りの道具
 キセルは、ガン首、吸口それにラオ(竹)の3部からできており、ラオを中にしてガン首と吸口が接合している。ガン首と吸口には、おもに真鍮、四部一(銅3と銀1の割合の合金)、赤銅(銅に金2〜8%を加えた合金)、金それに銀などの金属を使い、吸口とガン首を作ることがキセル職人の仕事となる。キセル作りは約20の工程に分かれるが、つまりは切り、叩き、削る技の集積であって、手細工と表現できるような細かい作業となる。
 作業のほとんどは、トビロと金台がついているケヤキの台を使うが、もちろん数多い道具を必要とする。道具のほとんどは、キセル職人が作るのであって、道具が作れて初めて一人前のキセル職人となる。基本的な道具としては、次のようなものがある。
鋏(ハサミ) 金槌(カナヅチ)
金台 ヤスリ
心鉄(シンガネ) 如信バシ(筒にしたものを動かないように固定)
ハシ
キサゲ(胴の仕上げに使用) ケビキ
ツクミ(仕上げの場合に使用) 胴かき(胴のふくらみをつけるのに使用)
トビロ(ラオを入れる穴の丸みを仕上げるのに使用) 心棒(丸くするのに使用)
皿バシ(ガン首をはさむのに使用) ルツボ(四分一、赤銅などの合金を作る時の溶解用具)
皿床(ガン首の形を作るのに使用) 皿台
ボール盤(火皿の内側をキレイにするもので、昔はロクロを使った)



●キセル作りのおおまかな流れ
<<吸口>>…普通ものの真鍮を例とする。厚みは1〜1.3ミリ
 〃燭帽腓錣擦萄猯舛縫吋キ(型を線で材料にうつす)をして、ケガキのとおりに鋏で切り取る。
 丸い金台に材料をのせて金槌で叩いてふくらみをつける(「ブンダシ」という)
 4櫃瓩笋垢するために全体を半分くらいに折り曲げる(「反し」という)
 ず猯舛鮠討なまして鉄の心棒を中に入れ、金槌で叩きながら丸めて筒にする(「丸め」という)
 ゥ蹈ι佞院朕随ロウ(真鍮と亜鉛の粉末に硼砂(ホウシャ)を加え、水で練り合わせたもの)を接合部に塗って加熱し、暫く放置して接着させる。
 整形
      a.荒ならし…ヤスリを使って接合部を綺麗にし、吸口をトビグチに当ててヤニ止めをつくる。
      b.ならし  …全体の形を整える。
      c.仕上げ …ヤスリを使ってからキサゲを使って仕上げる。

<<ガン首>> ロウ付けまでの工程は吸口と同じだが、整形からが次のようになる。
 ー鵑め…金台にのせて金槌で叩きながら、ガン首の火皿のつく部分を修整していく(これがキセルの生命で、吸口をフッと吹けば吸殻が出るようになる)
 火皿の切り上げ…火皿がつけやすいようにする。
 皿つけ…ガン首に火皿をロウ付けする。
 つ幣紊押賃疹の凸凹や曲がりを修整する。
 セ転紊押張筌好蠅之舛鮴阿─▲サゲを使って完全に仕上げる(この作業後に磨き屋の手によって磨かれる)

<<ラオ(竹)すげ>>
 ラオの両端に吸口とガン首を差し込んで、キセルとなる(普通キセルは全長が6寸5分となるが、種類と形によってキセルの長さは変わる)



●キセルの形と名称
 キセルは持つ人の職業によって形が違うが、その他に個人の好みで作らせた形、キセル師が新たに工夫した形などがある。浮世絵画家の葛飾北斎はこの道にも詳しく、その著書の中でキセルの形を次のようにあげている。
 --桜--如信形よりでてガン首や吸口の胴が短く椀皿、ヤニ返しがない、女持ち。
 --朝顔--ガン首や吸口の胴が長い。姉妹形の夕顔形は胴が短い。
 --福寿草--農夫のくわえキセル、または老人向き。
 --芋--俗に徳利張または庄吉張という。浅草黒船町のキセル職、村田小兵衛の弟子、庄吉という者、この形を張るに巧みであったが、後年千住大橋河畔に住み、もっぱらこれを張り、いかだ乗りが多くこれを使用した。光大寺形より福寿草形で、それより変化して庄吉張となったのである。
 --松虫--商家のおかみさん向き。
 --石洲--備前石洲と呼ばれる岡山候の御召形。肩と吸口に筋があり、脂反しがない。
 --江戸桜--単に桜張ともいう。本式には覆輪をつける。商人持ち。
 --利久--女持ちは少し長めにつくり3本筋がある。茶の湯用。
 --出世--伊勢松阪壷屋より売り出したるものは4里筋がある、俗に松阪筋という。江戸ではそれを3里筋に改めて小松筋と呼んだ。
 --本型如信--小松筋があり、茶の湯または上品向き、男持ち。
 --御召張--不昧好み、本式には覆輪をつける。
 --石山大津--近衛機屋の形という、谷火筋2本を特徴とする椀皿。商人好み。
 --小姓--僧侶、医者などの愛玩用。

 日本専売公社には、江戸時代の喫煙に愛用されたキセルを、昭和初年当時の有名なキセル師伊藤東島吉氏に模造させ、資料として保存している。昔のキセルはこの他にもあり、形の名称は作らせた人の好みや、作った土地の地名、またはある形と別な形の長所と好みをとった複合された形の名もある。



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